詩文-3
愛する故郷よ!
大地よ!中国、瀋陽に立つ!
2024年9月15日
大空に向かって胸いっぱいに呼吸する。
この澄み渡る香りの透明さよ!
我が生命よ!
過去、現在、未来!
一瞬にして、永遠!
貴方はなんと暖かいのか!
貴方を抱きしめる。
ありがとう!
我、感謝の涙あふれる。
戦後79年、家族の平和の旅!
父と母の出会い。
戦時下、1943年6月6日
この日の午後、中国満州奉天駅へ。父、松太郎は愛しい乙女、スイを待つ。
故郷を離れての長旅の疲れも必死にこらえ、
夫となる松太郎と結婚するため、
下関港を出港して6日。スイは無事に逢えることを祈った。
列車は遅れた。
夕暮れの陽が沈む。
遠く汽笛が響いた。
間もなく、蒸気機関車は到着した。
「スイさん!?」
「松太郎さん!」
互いに手を握りしめた。
「疲れたでしょう!」
駅近くの中華飯店で食事をし、住居、社宅に向かう。
松太郎とスイ、二人の生活が始まった。
松太郎は軍属の裁断士として働き、
スイは東京で助産婦の手伝いをしていた。
二人は隣り村の出身だったが、会ったことはなかった。
戦時下、縁があり、写真見合いで結ばれた。
スイは下関港までの車中から見た惨劇、
B-25爆撃による街の破壊の様子を語った。
松太郎は、親切にしてくれる近所の
中国の人々と仲良くしてほしいと伝えた。
生活もようやく落ち着いた頃、
スイは子宝に恵まれたことに気づき、松太郎に伝えた。
新年を迎えた4月、結婚届を済ませる。
7月、戦争の渦中に利夫が誕生。
8月、終戦。引き揚げ、疎開、そして上京。
死を超えて、戦争の悲惨さや無念さを知らない子供として生まれた。
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