痛みを忘れる瞬間!
運動靴を千円で買ってきた。
江戸川の土手を小刻みに走る。走ると言うよりも重たい腰を引きずる。
腰が抜けるような痛さと、反対に気持ちの良い不思議な感覚を覚えた。
数メートル走る。
足のふくらはぎはパンパンになり、振る腕は重たい。
やっと100メートルぐらい走る。呼吸もつらい。
1983年5月37歳、走り始めるきっかけとなった。
腰痛の痛みをかかえて2年、6月は本格的に走り始めた。
距離を伸ばし初めての500メートルは苦しい。
1000メートル、2000メートルと走りこんでいった。
7月に38歳の誕生日をむかえた。月間、13日で70kmを走る。
5kmを走ることが出来るようにもなった。スタート地点は今ある寅さん記念館公園の前だ。
金町浄水取水塔、金町バイパスを折り返し、江戸川区と葛飾区の分岐点小岩を折り返す。
季節は春から夏えと変わっていく。
梅雨の湿度や気温の高さに身体からは汗がひた落ちる。
身体の中から火のような暑さが吐き出る。
もう僕は走ることに夢中であった。
走り出して途中で休み次に走り出すと、とても苦しくなることを知った。
だから、走り出したら休まないことにした。
この頃、あの不思議な腰の抜けるような痛みは少し違っていた。
足、腕、身体全体のバランスが取れてきたので走るフォームが良くなった。
腰が入っているのだろう。抜ける痛さはなくその反対も無い。
それは、痛みを忘れる瞬間であった。
腰の痛みを忘れることができたのだ。このまま走ることを続けたらきっと腰痛は治る。
そんな思いが生まれた。
方眼紙に1km単位に記録する。
8月87km、9月103km、10月122km、11月120km、12月125km
1984年1月110km、2月114km、3月118km
4月120km(1000km達成)
最高タイム10km47分、平均タイム50分
歩幅の目標が100mで45〜46歩
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